Secret Japan
会長挨拶
Greeting
僕はこう見えて、もともと大蔵省にいたんです。国家公務員をやっていました。大蔵省は2年ぐらいで辞めました。
僕は大学を出ていません。高校を卒業して国家3種に合格して大蔵省に入ったんですけど、残念な話、日本は大学を出ているか出ていないかだけで、すごい差じゃないですか。実際、入ってみると、なんだそれ…と思いましたね。大蔵省では「大卒は神と思え」というのが“社訓”でした。公務員は階級制なので、1階級でも上であれば、何歳であろうがペコペコしないといけない。そこで働いたとしても、40歳になったところで大卒には勝てない。おもしろくないなと思ったので、じゃあ僕にできることって何だろうと考えました。
おいしいものを作れるわけじゃないですし、芸ができるわけでもない。技もない。僕は人の悩みを解決するための仕事がしたいと思い、探偵になろうと思ったんです。
子どもの頃のことがずっとトラウマでした。家庭が複雑で、親父が浮気ばかりしていて、毎日泣いているおふくろの姿を見てきました。
おふくろは昼に働いて、夜は惣菜屋もやって、僕は1人ぼっちでした。小学校2年生ぐらいからずっと1人でご飯を食べていました。寂しいですよ。地元で片親なのは僕だけで、貧乏だったので同級生からはバカにされ、高校に入ってグレました。おふくろが1人で働いていたので、大学に行きたいなんて言えないですし、出せるわけないと思っていました。
親父がちゃんといれば、僕もそんな方向に行かなかったかもしれません。それこそ去年、親ガチャってはやったじゃないですか。本当にそう思うんですよ。僕も長嶋(茂雄)さん家に生まれかったですもんね。子どもは親を選べないですし、僕みたいな子どもを作りたくないですよね。そういうつらさを知っていたので、(浮気した人を)やっつける側に立ちたかった。子どもたちのためにやりたいと思いました。
最初は探偵のやり方が分からなかったので、フランチャイズの探偵に入りました。トラックの運転したり、不動産の営業をやってお金をためて行きました。でも、その会社はオーナーからの加盟金集めとか、探偵学校のお金集めの会社に見えて、違うなあと思いました。それが独立したきっかけです。
警察が事件だとすれば、僕ら探偵が扱うのは人の心の悩みです。うちもフランチャイズでやっていますけど、オーナーには必ず僕がお会いするようにしています。「この人だったら大丈夫」というのを見たいからです。依頼主さんも言ってくれるんですけど、本当、必殺仕事人の気持ちなんですね。お金を払って僕らに託してくれる。気持ちを晴らすじゃないですけど、依頼主さんに寄り添える会社にしたいと思っています。